はじめに
自動車整備業界は、整備士の高齢化と養成施設の入学者減少により、かつてない構造的な人材不足に直面しています。加えて、ADAS(先進運転支援システム)の普及やOBD検査の本格化に伴い、先端技術に対応できる整備士の確保は経営上の喫緊の課題です。
特定技能(自動車整備分野)は、こうした課題に対応するための在留資格制度であり、一定の技能と日本語能力を有する外国人材を即戦力として受け入れることが可能です。特定技能制度の基本についてはこちらをご覧ください。
この分野の特徴
認証工場または指定工場であることが必須
受入企業は、道路運送車両法第78条に基づく認証(認証工場)または同法第94条の2に基づく指定(指定工場)を受けた事業場を有していることが必須要件です。無認証の事業場での就労は認められません。自動車整備業務が国民の生命・安全に直結するため、法令に基づく一定の設備・人員基準を満たした事業場でのみ外国人材の就労が認められています。
直接雇用のみ(派遣不可)
雇用形態は受入機関との直接雇用に限定されており、労働者派遣による就労は認められていません。
届出義務(四半期+随時)
受入企業には、出入国在留管理庁に対する定期届出(四半期ごとに年4回)と随時届出(届出事由発生から14日以内)が義務づけられています。定期届出は受入れ状況、支援実施状況、活動状況の3種類。随時届出は雇用契約の変更・終了、支援計画の変更、受入困難時等が対象です。いずれもオンラインでの提出が可能です。
2号への移行が可能
2023年6月の閣議決定により2号の受入が開始されました。2号評価試験の合格(または自動車整備士技能検定2級の合格)に加え、認証工場における実務経験が必要です。2号では他の要員への指導を行いながら業務に従事することが求められます。在留期間の上限がなく、家族帯同も可能です。
協議会への加入
| 正式名称 | 自動車整備分野特定技能協議会 |
|---|---|
| 設置省庁 | 国土交通省 |
| 加入費用 | 無料 |
| 加入時期 | 在留資格認定証明書の交付申請前に加入を完了していることが必須。早い段階での手続き開始が望ましい。 |
| 加入方法 | 所定の「入会届出書(様式1-1)」を協議会事務局に提出。 |
| 義務内容 | 制度の適正な運用の確保、受入企業間の情報共有、外国人材の保護等を目的とした協議会活動への協力義務を負う。 |
業務範囲
特定技能(自動車整備分野)で従事可能な業務は以下のとおりです。付随業務・関連業務のみに従事させることは認められません。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 日常点検整備 | エンジンオイル量確認、タイヤ空気圧・溝深さ点検、灯火装置点灯確認、ブレーキペダル踏みしろ確認等 |
| 定期点検整備 | 12か月点検、24か月点検(車検整備)等。ブレーキ、走行、緩衝、動力伝達、ステアリング、電気の各装置を法定項目に従い検査・整備 |
| 特定整備 | 分解整備(エンジン・ブレーキ等の重要部品の取外し・分解)、電子制御装置整備(ADAS関連センサーのエーミング、OBD診断等) |
| 付随業務 | 整備内容の説明、点検結果の記録等(主たる業務と一体的に実施) |
| 関連業務A | 顧客への説明・対応、部品の発注・在庫管理、車両の引取り・納車 |
| 関連業務B | 工場内清掃・整理整頓、部品・車両の運搬、洗車 |
受け入れまでの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 受入体制の確認 | 認証工場・指定工場の要件、報酬水準、社会保険の加入体制等を確認。 |
| 2. 協議会への加入 | 自動車整備分野特定技能協議会に加入(在留資格申請前に完了が必須)。 |
| 3. 候補者の選定 | 海外直接募集、国内人材紹介会社の活用、技能実習生からの移行等。 |
| 4. 雇用契約の締結 | 報酬額、業務内容、労働時間、福利厚生等を法令に適合する内容で締結。 |
| 5. 支援計画の策定 | 1号の場合、支援計画を策定(登録支援機関への委託も可能)。 |
| 6. 在留資格申請 | 管轄の地方出入国在留管理局に認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を提出。 |
| 7. ビザ取得・入国 | 認定証明書交付後、在外公館での査証申請・取得、入国。 |
| 8. 在留カード交付 | 入国時に空港等で在留カードの交付を受ける。 |
| 9. 就労開始・届出 | 住居地届出、社会保険加入、生活オリエンテーション実施等。 |
受入企業の要件
認証工場または指定工場であること
道路運送車両法に基づく認証または指定を受けた事業場を有していることが最も重要な要件です。
報酬の同等性
日本人が従事する場合の報酬と同等額以上の支払いが必要です。経験年数や技能水準を考慮した適正な報酬額の設定が求められます。
社会保険の加入
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険への加入が必須です。
協議会への加入
自動車整備分野特定技能協議会への加入が義務づけられています(申請前に完了が必要)。
よくあるご質問(FAQ)
認証工場でなければ受け入れられませんか。
技能実習生を特定技能に移行させることはできますか。
1号から2号へ移行するための要件を教えてください。
特定技能外国人は転職できるのですか。
受け入れ人数に上限はありますか。
受け入れにかかる費用はどのくらいですか。
全国10運輸局 連絡先一覧
自動車整備分野の特定技能制度に関するお問い合わせ先です。認証工場の申請手続きや制度の運用に関するご相談は、事業場の所在地を管轄する運輸局にお問い合わせください。
| 運輸局 | 管轄地域 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 北海道運輸局 | 北海道 | 011-290-2752 |
| 東北運輸局 | 青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 | 022-791-7534 |
| 関東運輸局 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨 | 045-211-7254 |
| 北陸信越運輸局 | 新潟・富山・石川・長野 | 025-285-9152 |
| 中部運輸局 | 福井・岐阜・静岡・愛知・三重 | 052-952-8042 |
| 近畿運輸局 | 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 | 06-6949-6453 |
| 中国運輸局 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口 | 082-228-3434 |
| 四国運輸局 | 徳島・香川・愛媛・高知 | 087-802-6836 |
| 九州運輸局 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島 | 092-472-2537 |
| 沖縄総合事務局 | 沖縄 | 098-866-1836 |