1. はじめに
ビルメンテナンス業界は、清掃従事者の高齢化と若年層からの応募の構造的な不足により、深刻な人手不足が続いています。都市部を中心にオフィスビル・商業施設・医療機関・宿泊施設等が増加するなか、衛生環境の維持に必要な清掃人材の確保は極めて困難な状況にあります。
特定技能「ビルクリーニング」分野は、こうした課題に対応するために設けられた在留資格であり、清掃に関する一定の技能と日本語能力を有する外国人材を即戦力として受け入れることが可能です。特定技能制度の基本についてはこちらをご覧ください。
2. この分野の特徴
建築物清掃業の登録が必須
受入企業は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)に基づき、「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を都道府県知事から受けていなければなりません。この登録は受入の必須条件であり、未登録の企業は特定技能外国人を受け入れることができません。登録には、ビルクリーニング技能士等の資格を有する監督者の選任や、清掃用機械器具の基準充足が必要です。
直接雇用・フルタイムのみ
フルタイムの直接雇用のみが認められています。パートタイム、アルバイト、派遣形態での受入は不可です。
関連業務の範囲と制約
主業務は「建築物内部の清掃」であり、関連業務として建築物外部の清掃(高所作業を除く)、植栽管理、ベッドメイキングが認められていますが、関連業務のみに従事させることは不可です。とりわけベッドメイキングは、日本人従業員も当該業務に従事している場合に限り、特定技能外国人にも従事させることが可能です。
2号への移行が可能
2号評価試験(または技能検定1級)の合格と、特定建築物または登録営業所が行う建築物(住居を除く)内部の清掃に複数の作業員を指導しながら従事し現場を管理する者としての実務経験が必要です。2号は在留期間の上限がなく、家族帯同(配偶者・子)も可能です。なお、2号評価試験の合格率は3.7%から16.7%と難易度が高いため、1号在留中の計画的な育成が不可欠です。
3. 協議会への加入
| 正式名称 | ビルクリーニング分野特定技能協議会 |
|---|---|
| 設置省庁 | 厚生労働省 |
| 事務局 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |
| 加入費用 | 無料 |
| 加入時期 | 在留資格の申請前に加入を完了していることが必須(2024年6月15日以降)。受入れを検討する段階で早期に手続きを開始することが望ましい。 |
| 加入方法 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会を通じてオンラインで申請。 |
| 義務内容 | 受入れ状況に関する報告の求めへの対応、制度の適正な運用のための調査への協力義務を負う。義務違反の場合、在留資格の更新が認められない等の不利益が生じる可能性がある。 |
4. 業務範囲
特定技能「ビルクリーニング」分野で従事可能な業務は以下のとおりです。建築物内部の清掃が主たる業務であることが制度上の要件であり、関連業務のみに従事させることは認められません。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 主業務:建築物内部の清掃 | 弾性床・硬性床のフロアメンテナンス、カーペットクリーニング、ガラス・窓の内側清掃、トイレ・洗面所等の水回り衛生管理等 |
| 関連:建築物外部の清掃 | 外壁、外構、エントランス周辺等の清掃(高所作業を伴わないものに限る) |
| 関連:植栽管理 | 建築物敷地内の植栽の水やり、剪定、落葉の清掃等 |
| 関連:ベッドメイキング | 宿泊施設等でのベッドメイキング(日本人従業員も当該業務に従事している場合に限る) |
| 関連:品質管理 | 清掃作業の品質点検、作業記録の作成、報告書の取りまとめ |
| 関連:補助業務 | 清掃用資機材の準備・点検・整備、洗剤等消耗品の在庫管理、資機材の搬入搬出 |
5. 受け入れまでの流れ
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建築物清掃業の登録確認
「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録を確認。未登録の場合は先に登録申請が必要。
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採用要件の整理・求人準備
担当物件の種類・清掃範囲、勤務条件(勤務時間帯・シフト体制)、求める技能水準等を整理。
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候補者の選定・面接
人材紹介会社等を通じて候補者を選定し、清掃経験、日本語能力、就労意欲等を評価。
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雇用契約の締結
特定技能雇用契約書を母国語併記で作成。報酬額・業務内容・労働条件等を明示。
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支援計画の策定
1号特定技能外国人支援計画を策定。登録支援機関への委託も可能。
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在留資格の申請
認定証明書交付申請(海外在住者)または在留資格変更許可申請(国内在住者)を提出。
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入国・入社
住居確保、生活オリエンテーション、各種届出の支援。
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協議会加入・定着フォロー
ビルクリーニング分野特定技能協議会への加入は在留資格の申請前に完了。就労開始後は定期面談、日本語学習支援等を継続。
6. 受入企業の要件
建築物清掃業の登録
建築物衛生法に基づく「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録が必須条件です。登録の有無が不明な場合は、事業所所在地の都道府県の衛生主管部局にご確認ください。
報酬の同等性
同一の事業所において同等の業務に従事する日本人従業員と同等以上の報酬を支払う義務があります。基本給のみならず、通勤手当・時間外手当・深夜手当等の各種手当を含む総合的な報酬水準で判断されます。
社会保険・労働保険
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険への適正な加入が必要です。
清掃用薬剤の取扱い研修
ビルクリーニング分野固有の要件として、酸性洗剤とアルカリ性(塩素系)洗剤の混合による有毒ガス発生など、清掃業務特有のリスクについて、母国語または十分に理解可能な言語で教育を実施する義務があります。
労働安全衛生法への対応
雇入れ時の安全衛生教育、保護具(手袋、ゴーグル、マスク等)の支給と使用指導、定期健康診断の実施が法令上の義務です。